Danger Day.6「渕上舞:次は星の海渡ろう~Journey & My music~」
次は星の海らしいですよ
こんにちは、もでーんです。
2021年1月27日に渕上舞さんの2ndアルバム「星空」が発売されますね。
スタッフみんなで次のアルバムのタイトルをウンウン言いながら考えていたのに、渕上先生の「え、星空じゃないんですか?」の一言で一瞬で会議終わったと。
先生いわく「ミニアルバム(Journey & my music)の最後の曲で次は星の海渡ろうって言ってるんだから、そりゃあそうでしょう。」とのことだそうです。
そりゃあ納得だ!異論はあるめぇよ
ということで、今回はそのアルバムタイトルの基になった「Journey」を復習がてら書いていきたいと思います。
Journey & My music
「Journey」は2019年1月23日に発売された1stミニアルバム「Journey & My music」の大トリを飾る曲として収録されています。
リリースの発表があった当初は驚きました。
2018年1月にデビューしてから、まず1stフルアルバムが1stシングルより先に、しかもノンタイアップでリリースされ、それを追うように2枚のシングルが発売されました。
当然次はもう1~2曲シングルを出して、それを含めたアルバムを出してくるものと思っていたので「全曲新曲!シングル曲一切なし!」と知ったときは
「この人ロック過ぎるぅ!」
と叫びました。
いや…しないじゃん、普通…。
「Rainbow Planet」と「リベラシオン」が概ね好評で「この2曲に少し足してアルバム出せば売れるんじゃねぇの!」なんて思ってたので、僕としては「何故そうなる!」って感じでした(笑)
しかし…
結果から言えば大正解(爆笑)
リリースされてみれば「おい、なんだなんだ名盤じゃん、笑いが止まらん」と。
6曲と数は少なめですが、その分ギュッと詰まったアルバムになってます。
自分の勝手なイメージですが、このアルバムは
1曲目の「My music」で始まりの国を鳥が飛んでいるようなインストで冒険の始まりを思わせ、次のリードトラック「BLACK CAT」で加速し夜の国へ、「雪に咲く花。蜃気楼。(これも超名曲)」で雪に埋もれた国、「ファインダー」で少し牧歌的なのんびりした国へ、「バレンシアガール」で灼熱の国を経由し、そして「Journey」で故郷に帰ってきて、次の旅を思いながら眠りにつく…
そんなストーリーがあるように思います。
それを見事な緩急で鮮やかに表現したのが「Journey & My music」。無理にシングル曲を入れなかったので、流れが止まることなくまとまった印象です。
意表を突かれた形でリリース(そういうところが好き)されましたが、最終的に他アーティストを含めた自分が今まで聴いてきたアルバム群の中でもトップグループに入る程のお気に入りの1枚となっています。
終わりが見えないのでアルバム紹介はここで切り上げますが、少しでも興味を持ったらYoutubeの公式チャンネルにもアップされているので、そちらで視聴してみてください。
はい次ぃ!
考察:サウンド面
最初に思ったのが「空間を感じるなぁ」でした。そして
「とにかくボーカルが気持ちいい」
「Rainbow Planet」「Crossing Road」等、記事にしてきたのはいずれも音が詰め込まれていて迫力を感じるものでした。しかし、今回は浮遊感、どこか夢を見ながらまどろんでいるような印象を受けます。
では何故、そのような印象を受けるのでしょうか。僕なりに考察していきたいと思います。
その理由はズバリ「とにかくボーカルを邪魔しないアレンジになっている」からだと考えています。 渕上さんの声が上下左右、かなり奥まで追うことが出来ます。。
波形を見てみると、低音部が少し弱め(低音部のピアノを弾いたタイミングではしっかり鳴ってますが)で中音から高音にかけてギザギザしているように見えます。
これは渕上さんのボーカルを存分に聴かせるためなのか、空間を確保するためにベースを極力抑え、音域を支配しない音を重ねてアンサンブルを作っていることに起因すると僕は思っています。
どういうことかと言いますと…
今回はヴァイオリン等の「The 楽器」ではなく、効果音のような音が多く使われています。
イントロでは鳥のさえずりが聞こえたり、Aメロでは水のような音が聴こえたり、「ひゅわーん」とした光を感じさせる音が入っていたりと、とにかく情景を思い浮かべさせるアレンジがなされています。
そのせいか、ある種、打音のような音が重なっており、各パートの音量のピークが入れ替わりで訪れるので波形もギザギザになっているのではないかと思います。
では何故そのようなアレンジにしたのか。それは残響を感じさせるような音を使って空間を作り、ボーカルがその中で響き渡るような印象を与えたかったのではないかと僕は考えています。
この曲は各パートの多くに「リバーブ」や「ディレイ」と呼ばれるエフェクトをかけています。(空間系エフェクトと言ったりもします)
「リバーブ」というのは広いホールで声を出したときのような音を加えるエフェクトで、
「ディレイ」というのは山びこのような跳ね返ってきた音を加えるエフェクトになります。
上記の2つのエフェクトは空間を感じさせる場面でよくある現象ですよね。それを疑似的に追加して「Journey」の奥行きがある空気感を作り出しているわけです。
そして打音というのは、ヴァイオリン等と違って「一度鳴ってしまえばすぐに音量が減衰していく」ので、印象だけ残して、その余韻の中でボーカルを他の楽器と被らせずに響かせることが出来るのです。
今まで紹介した曲は「アンサンブルの中に一定の場所を空けて、ボーカルをそこに埋め込んだ」ようなものでしたが、今回は「雨が大地に染みこんでいくように、ボーカルをアンサンブルに染み込ませていった」楽曲になっているのですね。(平たく言えば、他の楽器も際立たせているか、そうでないか)
通りで気持ちいいわけだ!
…しかし、残響音というは諸刃の剣です。
空間を感じさせたいからと言って、残響音を残し過ぎると、新しく鳴った音が重なってどんどん積み上げられていってしまうため、下手をすると音が濁り、不快な響きになってしまいます。
持っている人は3rdシングル「Love Summer」に付いている「Journey-2nd live音源-」を聴いてみてください。アルバム版よりちょっとボワボワしているような気がしませんか?
これは「ライブ会場そのものの残響も拾ってしまっている状態」なので、ちょっと音が整理しきれていない印象(ライブでは音のバランスも違いますし、録音環境上当然のことではあるので、そこを念頭に置く必要はあります)を受けるかと思います。(ただ、ライブ音源としてはかなりクリアなものが録音出来ているので、バランスの違いに注目して聴くのも面白いと思います。)
残響音の処理を誤ると、CD音源でもそうなってしまうわけです。
特に低音域となると、高音以上に不協和音の不快さが際立つので、楽曲のバランスを大きく崩してしまうことになります。
じゃあどうするのか?
それがこの項で最初に言った「ベースが抑えめになっている」というところに繋がってきます。
ベースという楽器は低音を支える大事な存在です。低音がなければイマイチ楽曲に厚みが出ず、ペラペラした印象になってしまいます。
しかし、ベースはただ鳴らせば良いというわけではなく、低音が強すぎると他の楽器の邪魔をしてしまい全体が曇ったような響きになってしまうため、ある意味一番気を遣う楽器だったりします。
そのベース特有の音の厚みは、「Journey」のあの浮遊感を出すには、他の音域を埋めてどっしりとさせてしまうため、適さない可能性があります。
かと言って、ベースを蔑ろにしてしまっては薄っぺらい曲になってしまう…
そこで、アレンジャーはメインの低音部をドラムのバスとピアノに任せ、それらの楽器の「打音であるために音量を維持できない」という欠点を補うような形で、ベースを軽く重ねて鳴らすようにしたのではないかと思います。(机をノックすると「コンッ」ってなってすぐ消えてしまいますが、ゴムを伸ばして弾くと「ビィーン」ってある程度持続しますよね。厳密には楽器によりますが、そんなイメージです)
ちょっとしたトリビアになりますが、人間は音色の大部分を「音が鳴ったときの立ち上がりの音(アタック音)」で判別しています。なので、明らかに音が違うギターとピアノでも、その最初の部分だけを切り取った音を聴くと判別が難しくなってしまいます。
今回はそれを利用して「ピアノ等の後ろで、薄くベースの音を鳴らすことにより、他の音の邪魔をせず、それでいて厚みを維持している。」のではないかと思います。
ピアノやバスドラは減衰していっても、ベースは音量をある程度保つので、耳としてはピアノの音が鳴り響いている印象を受ける、というわけですね。
それに、無理にピアノでその音域をカバーしようとすると、中音以上も釣られて膨れ上がってしまうので、ピンポイントで補強できるという利点もあります。
こういったアレンジャーさんたちのテクニックによって、「Journey」の夢の中のような空気感は保たれ、渕上さんが自身の魅力を存分に発揮できるようになったと思われます。
僕も趣味で曲を作ることがあり、その度に「ぐっ!音詰込み過ぎて整理出来てない!」「一部の帯域に音集まっちゃってる!」「この残響が邪魔過ぎる…誰だこんなにリバーブかけたのは!俺か!」と四苦八苦しているので、ここまで音を重ねても綺麗に聴こえるというのは本当に感心してしまいます。
いやぁ…プロってすごいなぁ…
考察:ボーカル
今回も匠の技、炸裂してます。
渕上さんって、歌に関してかなり器用なアーティストだと思うんですよね。
綺麗な声でも、パワーのある声でも、可愛い声でも歌えると。
まぁそれは勿論ではあるんですけど、フレーズごとの瞬間的な声質や音量の変化が特にすごいなと。
結構揺らすんですよ。音を
特に「Journey」なんて素朴な感じの曲なので、素人からすると「素朴に歌えばいいじゃん」って気にもなりますが、どうも渕上さんはそうは思わないようです。
短いちょっとしたフレーズでも、芯のある声からスッとファルセットに移行したり、わざとらしくない程度に音量を上げ下げしたり、ピタッと発声を止めるところもあればフェードアウトするように優しく音を絞ったり、最後の一瞬だけビブラートしたり、と色んな技を披露してくれます。
僕なんかは特に1番Bメロの「さまよい続(つづぅ)けるう~」のところがお気に入りです。
「さまよい」でスーっと入ってきて「つづ」で瞬間的に厚くし、「ぅ」でもう既に力を抜き、「ける」でフェードインするように声に力を持たせ、「う~」で短いながらも軽く、でもしっかりビブラートを入れる。
この「渕上舞というアーティストの技がギュッと詰まった」ような感じが好きですね。こういった技をデビュー1年で出来てしまうのも、声を生業として10年磨いてきたものの賜物なのではないかなぁと思います。
つまるところ
歌い方がペタッとしてないから、聴いていて楽しいよね
ってことです。
そして普段は他の楽器と被らないように音のレンジを狭めてあるボーカルですが、この曲に関しては空間系エフェクトでどこまでも飛ばしていきます。
空間のあらゆるところへ渕上舞が染み込んでいき、包まれるような、そんな感覚にさせてくれます。
器用な渕上さんの良いところが沢山詰まっているこの曲。聴けば聴くほど味わいが増していくと思います。
皆さんも、自分なりの「ここが好き!」を探してみてはいかがでしょうか。この曲なら必ず応えてくれるのではないかと思っています。
ハイ、次ぃ!
考察:歌詞
※ 最早考察ではないということに書いてから気付きました。それでもよければどうぞ
「正直な歌詞だなぁ~」
と思わず呟いてしまいました。
Aメロ、Bメロでは過去の自分のスタンスや、それを踏まえて今はどうなのかを綴り、サビは「これからどうしたいのか」を中心に歌っているのかな、と思います。
「Fly High Myway!」なんかでもそうですが、渕上さんが歌詞を書くと結構「夢や希望も実は持ってた。けど今まではそれに向かうことを怖がってた。でもこれからは違う。怖いのは変わらないけど、今を楽しんで、もっとこの先を見てみたい。」といった想いを切り取って書いていることが多い気がしますね。
僕は渕上さんのことを主に音楽活動を通してしか知らないので、そこからの推察になりますが、本質的に渕上さんは「感受性が豊かであるが故にネガティブ気味」なように感じられるところがあります。
しかし、そのネガティブをこれまで積み上げた努力や実績で克服しつつあり、それを形にして残すプロジェクト、それが「アーティストとしての渕上舞」なのではないかなぁって気がするんです。
「克服しつつある」という言い方をしたのは、恐らく渕上さんはまだ戦っている最中なのだと思ったからです。
これまでの曲にも「気の向くまま行くから急かさないでよ」だったり「人生は楽しまなくちゃ」といった「自分自身にも言い聞かせているような」内容の曲が度々登場しています。(というか音楽活動全体的にそんなような雰囲気を感じます)
生まれ変わりつつある自分をしっかりと形にするため、今まで積み上げて熟成したものをアウトプットしているのではないでしょうか。
だからこそまだ旅の途中で「一休みしたら次は星の海渡ろう」に繋がるのではないかと思います。
そこに僕は惹かれます。
他人からは充分成功しているように見える渕上さん。しかし、本人は自身を成功者とは思ってないんだと思います。(「まぁ、自分なりに必死こいてやって来ましたよ」くらい?)
でも、どこまで行っても挑戦者である彼女が勇気を出して紡いだ言葉だからこそ「信じてみてもいいかな」と思わせてくれるのではないでしょうか。
普段前向きな歌詞の曲を聴くと「ふーん」で終わってしまう僕ですが、「Journey」の「またこの青空を思い出して欲しい」なら「ああそうか、忘れがちだけど青空はいつでもそこあるんだなぁ。」と素直に受け取ることが出来ます。
(青空から見下ろされて「こっち来いよ!」って言われても「は?いけねぇわ」ってなりますけど、「見て見て!青空があるよ」って言われたら「よぉし!行ってみるか」ってなる、みたいな…)
そういう「一緒に青空に憧れることが出来る存在」が渕上舞というアーティストなのではないかなぁと思います。
だいぶ話が逸れてしまいましたね(締め方がわからない…)
詰まるところ、まぁ、なんだ、その…
そういうことだ
まとめ
今まで以上にまとまりのない内容ですが、思ったことをある程度書けたのでちょっとスッキリしました。
要するに「Journey」は「今までこれこれこうだったけど、今はこれからが楽しみ。まだまだ旅の途中だよ。」という曲だったのではないかと思います。
アルバム「Journey & My music」の旅から2年経った今、次はどのような景色を見せてくれるか楽しみで仕方ありません。
では次は星空でお会いしましょう。
アディオス!
Danger Day.5 「富士急に轟く心の絶叫!バンドリ8th Live!」
NO LIVE! NO LIFE!
どうも、もでーんです。
今回取り上げるのは先日開催された
「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYS
の内、2日目のRAISE A SUILENと3日目のPoppi'n Party,Morfonica,前島亜美×RAISE A SUILENに参加してきたので、その記録を鉄が熱いうちに残しておきたいと思います。
今回はスピード重視のため各バンドの紹介は後日に回し、ライブのレポートを優先していきたいと思います。気持ちが高まり過ぎて、細かい記憶はあやふやなので特に印象に残った部分のみとなります
注意:リンクの動画は全部過去のライブのものです
- DAY2:RAISE A SUILEN「THE DEPTHS」
- DAY3:Poppin'Party、前島亜美(Pastel*Palettes 丸山彩役) with RAISE A SUILEN、Morfonica「Special Live ~Summerly Tone♪~」
- アンコール:BanG Dream! Family
- 最後に
DAY2:RAISE A SUILEN「THE DEPTHS」
RAISE A SUILENはBass/VocalのRaychell、Gtの小原莉子、Keyの倉知玲鳳、Drの夏芽、DJの紡木吏佐の5人編成です。
サウンドはキーボードやDJによる電子的でサイバーな音と重厚なサウンドを融合した、ダンサブルなロックを得意としており、ライブの度に圧倒的な技術と世界観で観客を支配します。
支配というと言葉は悪いですが、実際ライブではパフォーマンスに圧倒されっぱなしでかなりハードです。しかし終わったときには既に次のライブが欲しくてたまらない身体にされており、そのなんとも言えない感覚がクセになるバンドでもあります。
演奏の安定感はいつものことながら、今回驚かされたのがパフォーマンス力。要所要所でキメるキメる。クールビューティのリズム隊は難しいことを涼しい顔でやるし、キューティー3人組はこれでもかっていうくらい暴れるし。
特に「HELL! or HELL?」のBメロなんかCDより低音が強く、メンバーもヘドバンしていたため、様相としてはもう完全なメタルでした。今まで僕はこういうのはムキムキの男性がやっているところしか見たことなかったので新鮮…というより戦々恐々でした。
キューティ&ビューティのバンドがやる音楽ではない…けど、それをやるのがRAISE A SUILEN。
また、各所では各メンバーがそれぞれのテクを余すところなく披露していきます。
小原さんなんか、台にギターを置いたと思ったら琴みたいに弾き始めて、恍惚とした顔でニヤニヤしてるんですもん。怖い怖い
倉知さんだって、グルグル回りながらキーボード弾いてるし。
夏芽さんは満面の笑みでブラストビート踏んでるし。
紡木さんも暴れながらDJプレイしてるし。
Raychellさんは遠くまで響く、強くも綺麗な声で歌いながらベースで夏芽さんのグルーヴに乗っかるし。
凄すぎてもうホラーですね。
更に初披露の「INVADE SHOW!」では、サビの「シュラライ!ライライ!」に合わせてメンバーが身体を横にブンブン振っていたのですが、その動きが自然過ぎて、そのノリに当てられた観客の身体は勝手に踊りだしてしまいます。
そうやって動きの中で観客を煽っていけるのも、RASというバンドが、メンバーがそれぞれ熟練のテクを持っているからこそなせる技でしょう。(踊りたいと思う前に踊らされてしまう。正にライブモンスター…)
そして最後はやはり「R・I・O・T」。
もうこの曲のイントロが流れ始めたときの会場と言ったら…
「待ってましたぁああああああ」
と言わんばかりの雰囲気が会場を包み、もう爆発寸前。いや、もう爆発していたかも知れない。
この曲を演奏しているときは、観客は地面に立っているより空中に浮かんでる時間の方が長かったのではないか、と錯覚するほど、熱気が会場を包んでいました。
半年以上にもなる沈黙を破り、ついにステージに降り立ったRAISE A SUILEN。
バンドリが誇るライブモンスターは、静かに爪を研ぎ、これっぽっちも弱体化していないということを証明したのでした。
DAY3:Poppin'Party、前島亜美(Pastel*Palettes 丸山彩役) with RAISE A SUILEN、Morfonica「Special Live ~Summerly Tone♪~」
Morfonica
このバンドには驚かされました。
デビューが発表されて、初めて1st Singleを聴いたときは、失礼ながら「ビビッ」とは来ませんでした。
しかし、実際ライブを見てみると、手のひらを高速で返しざるを得ませんでした。
まず驚いたのは音の作り方。
低音がめちゃくちゃ強い
ベースとドラムのバスが効きまくっていました。CD等の音源を聴くとゴリっとしたベースもよく聴こえ、確かに低音が強く感じますが、ライブはその比ではなかったです。
ベースやバスドラが鳴っているときは会場が震え、ベースとバスのアタックが合わさった瞬間に至っては「心臓マッサージを直でされている」と言っても過言ではないほどの振動が伝わってきます。
また、ベースのピック弾きのアタック感が、圧縮したような厚いバスと絶妙に合わさり、聴いていて気持ち良いリズム隊でした。それでいてドラムのそれ以外のタッチは柔らかで優しかったので聴いていて不思議な感覚があったのを覚えています。
低音をリズムに預けたギターはコードを中心にボーカルを支え、このバンドの一番の特徴であるヴァイオリンは、それらを基に裏メロとして動き回り、演奏を彩っています。
また、ボーカルも最初CDで聴いたより堂々として迫力があり、デビューして間もないながらどんどん進化している様が感じ取れました。
しかし、僕の心に強く残ったのは演奏だけではありません。
Morfonicaのチーム力です。
ライブの途中、メンバーの演奏が大きくズレるというアクシデントがありました。(誰が、何が原因とは言うつもりはありません)ボーカルの進藤あまねさんも、そのままでは歌えないと判断したのか、イヤモニターを外してしまいました。
演奏していた曲を初めて聴いた僕ですら、すぐにズレたとわかったのですから、他の観客、ましてや演奏中のメンバーはさぞ焦ったことでしょう。
しかし、僕が驚いたのはここから。
あるメンバーがリズムをリードし、それを感じたメンバーがリズムを整え、他のメンバーが最後それに合流する形で、誰一人演奏を止めることなく元の流れに戻したのです。
この修正力は本当にすごいと思います。
中にはプロとして活動していたメンバーがいたとしても、バンドとしては初めてのライブ。しかも殆どは実績のあるポピパやパスパレを見に来ているアウェイのステージで、諦めることなく全員が協力して食らいついていったガッツは並大抵のものではありません。
このライブを見てしまったら応援せずにはいられない。そんなライブでした。
勿論初めてのライブ故の固さはありましたが、これからの活躍を大いに期待できる良いライブでした。
前島亜美 with RAISE A SUILEN
陽キャの陰キャ(スタッフ談)前島亜美さんがRAISE A SUILENを引き連れ参戦です。
このパートで特筆すべきは「安定感」です。
演奏力に定評のあるRASは勿論、ボーカルの前島さんの安定感が半端ないです。
まずキレッキレのダイナミックなダンスは最初から最後までブレません。過去に空手をやっていたということで体幹が鍛えられているのかも知れませんが、それにしてもあのスタミナはもはや人類の不思議です。
そして歌。あんだけ動いていれば息切れしてもおかしくないのに、全く不安定にならない。なんなら以前より歌の艶が加わり、表現力が増している気がします。
更に終始最大限の笑顔。キツイはずなのにそれを一切感じさせず、見ているこっちも釣られて笑顔になってしまう100万ドルの一級品。陰キャ(スタッフ談)なのにどうしてあんなキラキラしているのか不思議です
しかし、安定しているのはパフォーマンス面だけではありません。MCの安定感がとにかく凄い。
今までリアルバンドの大部分を担ってきたポピパとRoseliaのライブは、MCが攻めているので基本爆笑の嵐。しかし、振り切っている分「この話の着地地点どうすんだ…」と心配になることもしばしば。
その点前島さんのMCの安定感と言ったら…。
態度は控えめなのに堂々としているんですよね。それが見ている側の安心感を与えるのかも知れません。
あとは、白鷺千聖役の上坂すみれさんが映像で駆けつけてくれました。「おー二人で歌えてよかったねー」って思ってたら、歌い終わったあと前島さんが泣いていたという、まさかのハプニングがありましたが、一人でこの曲を歌ってきた彼女なりに、何か思うところがあったんじゃないかと思います。
といったような心温まるステージで会場は更に盛り上がり、バトンは大トリのポピパに引き継がれたわけです。
やいやい
Poppin'Party
やってくれました我らがPoppin' Party!
それぞれが魅力的なバンドであれど、バンドリというコンテンツを締め括るのはこのバンドしかないと僕は思っています。
とにかく多幸感が振り切っているバンド。
今回はいきなり激しいナンバーから始まり、天気予報を覆した晴れた夏の空を赤く染め上げていきます。そして、夏曲ゾーンではポピパらしいカラフルな選曲で彩り、終盤は明るい曲で盛り上げていきます。
コロナで多少ブランクがあるものの、演奏は安定していて「ポピパも本当にうまくなったなぁ。凄いなぁ」とスポーツ漫画に出てくる、観客席で玄人感出してる人みたいな気持ちで今回は見ていました。
大橋さんは柔らかいながら輪郭のあるドラムをしっかり叩くし、西本さんは相変わらずグルーヴィーにブイブイ言わしてるし、伊藤さんは余裕をもって動きながら楽しく弾くし、大塚さんはパッション溢れるギタリストだし、愛美先生は歌い方が力任せじゃなくなって幅が広がっているし…。
特にギターは、7th辺りから僕の好きな方向の音になってきて(前はもっとジャリっとしていた)、個人の好みとしても聴いていて気持ちが良かったです。
「うんうん、皆立派になって…」と最早センチになってしまうほどでした。
と思ってたんですけど。
事件は夏曲ゾーン「夏空 SUN! SUN! SEVEN!」で起きました。
いつも通り楽しくノリノリでいるメンバーと観客。いよいよサビに差し掛かってもっと盛り上がろうとした瞬間
「おぉぉおおおおおおおおいwwwwww」
とツッコミたくなる出来事が。
大橋さんが前に出てきた代わりにサポートに入っていたドラムと、伊藤さんのキーボードしか聞こえない。びっくりしてステージ上を注視すると仰天の光景が繰り広げられてました(笑)
敢えてここではその内容は伏せておきます。気になる人は9月のアーカイブ配信か、いずれ発売されるBDを買って自分の目で確かめてください。
想像を絶する光景だと思います。「やりやがったな!」って叫びたくなること間違いなし。
ただ、その光景は見た人を幸せにすると思います。それだけは保証します。
空前絶後のステージを繰り広げ、みんながニコニコになったところで最後の曲に。その前に各メンバーから一言ずつ挨拶。
大まかな内容としては、ポピパもライブを待ちわびていたこと、バンドリというコンテンツを大事に思ってくれていること、これからも走っていくこと。これらをメンバー自身の言葉で話してくれました。
僕は西本さんの「ただいま、おかえり、ありがとう」が特に記憶に残ってます。観客もメンバーと同じようにライブの開催を待ちわびていた内の一人。それを汲み取って「お帰り」と言ってくれたのは素直に嬉しかったです。
そしてミライトレインの掛け声を観客は心の中でシンガロングし、ポピパのステージは幕を閉じました。
アンコール:BanG Dream! Family
最後は今回の出演者みんなを交えての「夢を打ち抜く瞬間に!」です。Roseliaからはボーカルの相羽あいなさんが参戦し、今回の3daysに参加した合計5バンドが出揃いました。(当曲は1:30からです)
もうこれは幸せ以外の何物でもありませんでした。
メンバーだけでなく各スタッフ全員が、この3日間を無事に走り抜けられることを信じて取り組んできたことが実を結んだ瞬間。
みんなで盛り上げ、会場のボルテージが上がり切った瞬間、成功を祝うように特大の花火が上がりました。そのとき僕は「ああ、無事終わったんだな」と実感しました。
嬉しさとちょっとの寂しさ。そんな色々な感情が頭の中を内包したまま、僕のバンドリ8th LIVEは終わりました。
出演者みんなが笑顔でいるステージは正に「キラキラドキドキ」でした。
僕にはライブに参戦し、見守ることしかできませんでしたが、苦難を乗り越えて開催したこのライブには確かに意味があったと思います。
最後に
いつでも挑戦するバンドリ!にはこれからも突き進んでいって欲しいと思います。
僕個人としては、ラルク、マイケミ、LiSA等、色々なライブが中止になり、2020年最初のライブとなりました。
みんなで音に溺れて一つになる。この感覚はライブでしか味わえません。
僕にとっては、もう本当に待ちわびたライブでした。
それをこの難しい情勢の中無事に開催し、やり遂げてくれたバンドリメンバー、スタッフには感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました。
多くを語り過ぎても野暮なので、最後は一言で終わりたいと思います。
やいやい
Danger Day.3 「勃発!ハンター渕上 VS ジョーカー水樹!」
先に言っておきますけど、映画のコラボでよくあるVSなので勝ち負けはありません
こんにちは、もでーんです。
「渕上さんのバレンタインハンターと水樹奈々さんのMARIA&JOKERを比較してみて欲しい。」というリクエストを貰ったので、自身の勉強も兼ねて、渕上さん第3回にして3回目の登場です。(好きすぎだろおい)
今回は水樹奈々さんも扱っていきますが、僕は水樹奈々さんという人物にちょっと疎いので、生温かい目で読んで貰えればと思います。
それでは早速比較に移っていく…前に、まずは水樹さんにも触れておかねばならないでしょう。
水樹奈々とは?
声優アーティストの頂点に君臨する者。
2009年に発売した7thアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で声優として初めてオリコンのウィークリーチャート1位を記録しました。(奈々さんが7つ目のアルバムで1位。やっぱ持ってますね。)
元々演歌歌手を目指していたそうで、そこで培われた歌唱力はとても高く、アニソン界のみならず日本の音楽シーンにおいても屈指のボーカリストとして日に日に存在感を強めています。
代表曲「ETERNAL BLAZE」「深愛」などクオリティの高い楽曲が多数ある上、東京ドームでの単独公演を成功させるなど、富、名声、力、を欲しいままにしている「女王」とも言える存在です。
因みに僕は「深愛」が狂おしいほど好きで、発売から11年経った今でもよく聴いています。2018年の5月、渕上さんの1stライブでカバーを聴いたときはいたく感動してしまいました。
渕上舞さんの経歴に関しては
Danger Day.1「渕上 舞(声優)」 - もでーんのDanger Daysで触れているのでそちらを参照するようお願いします。
開戦!渕上舞 VS 水樹奈々
今回比較するのは上記の通り、渕上舞さんの「バレンタイン・ハンター」と水樹奈々さんの「MARIA&JOKER」です。2曲の考察なので、今回は少しあっさり目にしたいと思います。
まずはいつも通り、曲を聴いてみてください。
水樹奈々さんの「MARIA&JOKER」はYoutubeで公式動画がなかったので、サブスク等で探すようお願いします。
共にジャズ風のロック
サッと聴いて思ったのが「両方ともジャズテイストのロックだな」です。
僕にリクエストして下さった方も、両曲に含まれるジャジィな雰囲気を感じ取り「似ているテイストだけど、違うところはどこだろう」と思ってして下さったのかも知れません。
両曲とも、ドラム、ベース、ピアノ、金管+αと、何とな~くジャズっぽい風味があります。ただ、そこで僕がロックという理由は何か。それは「リズムの取り方がロックのそれだから」です。
ロックのリズムは一般的に「スネアとバス」で取ります。
バスは大体どの曲にも使われている、ドラムという楽器の中で中央の低音を鳴らしている「ドッドッドッドッ」というものです。スネアに関しては、このブログを読んでいる方には御馴染みですね。まだ読んでいない方は、こちらからどうぞ
Danger Day.2 「Rainbow Planet:渕上 舞」 - もでーんのDanger Days
下の図は「Rainbow Planet」のものではありますが、ドラムの配置の参考に置いときますね。
では、ここで2曲を聴きながらリズムを取ってみてください。バスとスネアに合わせて身体は動きませんか?
もっと言えば、頭の中でスネアとバス以外のドラムを消してみてください。それでもリズムを取るのに苦労はしないはずです。
これはリズムの核となる部分がスネアとバスでしっかりと作られている証明に他なりません。そしてこのようなリズムの取り方はロックでよく使われています。
それに対して、ジャズは「ハイハットとライドシンバル」でリズムを取ります。
この曲は僕が好きなケニー・バレルというジャズギタリストの名曲「Midnight Blue」です。ちょっと右側の「チチン・チチン」と「ン・チャ・ン・チャ」というリズムを取る金属の音が聴こえるでしょうか。この「チチン」がライドシンバルで「チャ」がハイハットになります。
はい、ではここでもう一度リズムを取ってください。さっきと違ってライドとハイハットに合わせて身体は動きませんか?ちょっと跳ねるような。
これがジャズのリズムです。
ライドとハイハットでのリズムによって、ロックでは入れずらいタイミングでアクセント(クラッシュシンバル等)を入れやすくなったりするのですが、それは今言及すると長くなるので、興味がある方は調べてみてください。
ということで、以上の点からこの2曲は「ジャズ風のロック曲」と言えるかと思います。
はい次ぃ!
2曲の違うところ
じゃあこの2曲の違いは何よ?って話です。ざっくり言うとアレンジの方向性だと思っています。言葉にしてしまうと「そりゃそうだ」ってなってしまうんですけど。
音楽を聴いたとき、僕たちの中に湧き出てくる気持ちは「カッコいい」「綺麗」「可愛い」「楽しい」「怖い」などですよね。
僕は上記2曲を聴いたとき、「MARIA&JOKERはセクシー」「バレンタイン・ハンターはキュート」と感じました。
「まぁ、渕上さんの声って可愛いし、水樹さんの声は艶があるし。」
って思う方がいるかも知れません。もちろんそれもありますが、それだけではないと僕は考えています。
試しにバレンタイン・ハンターのオフボーカル版を持っている方は聴いてみてください。
恐らく「うん、やっぱ可愛い」となると思います。
「ボーカルがないのに、何故可愛いの?」
答えは単純です。アレンジが可愛いからです。
ハンター VS ジョーカー:アレンジ音色編
両曲に共通する基本的な楽器構成は、ドラム、ベース、ピアノ、トランペットです。
この構成に
「バレンタイン・ハンター」の場合はエレキギター、シンセサイザーが
「MARIA & JOKER」にはヴァイオリンとフルートが追加されます。
(ポケモンの○○版、××版のような…?)
「バレンタイン・ハンター」は半音階進行の不思議な響きのピアノのリフ(その曲を印象付けるフレーズ)から始まり、テンポが速く力強い4つ打ちドラム(下記のリズム編で説明)が入り、それにアクセントを合わせながら、踊るように動き回るベースが印象的です。
そして、ボーカルの裏を取って鳴るトランペットとチャカチャカとノリノリなカッティングギター(1音1音を伸ばさずに、歯切れのいい音を出す奏法)がビートに乗り、サビでは中央と右側にシンセサイザーがボーカルをなぞるように入ってきています。
僕は今回「バレンタイン・ハンター」と「MARIA & JOKER」との一番の違いはここなんじゃないかと思っています。
上記の通り、2曲の構成の違いは「エレキギターとシンセサイザーか、ヴァイオリンとフルートか」です。
前回の記事Danger Day.2 「Rainbow Planet:渕上 舞」 - もでーんのDanger Days
では、スネアの音から、音色が与える印象の違いについて触れました。今回もそれは重要な項目になってきます。
じゃあハンターとジョーカーの楽器の主にどういったところが違うのか、ということですが、それは「エレクトリカルな音」か「ナチュラルな音か」というところです。
両曲を聴き比べると「バレンタイン・ハンター」は「MARIA & JOKER」に比べて電子的な印象を受けます。実はここがポイントなんです。
電子的な音を使った曲…。皆さんも今まで聴いてきた曲をイメージしてみてください。もし思い当たる曲がなかった場合は、あの有名な「夢の国のパレード」で使われているエレクトリカルな曲を思い浮かべてください。
また、渕上さんで言えば「フラミンゴディスコ」なども充分エレクトリカルですね。
(エレクトリカルという言葉を連発しすぎてゲシュタルト崩壊しそう…)
皆さんはそれらを聴いて、どのような印象を受けるでしょうか。
恐らく「可愛い」とか「賑やか」とか、そのような印象を受けるんじゃないかと思います。
そうなんです。電子的な音って可愛かったり賑やかなポップ曲に使われることが多いんです。勿論、音によってはカッコいい曲にも使われますが「バレンタイン・ハンター」のサビの「テッテッテッテレッレー」といった右側の電子音は、特にポップな曲に使われていることが多いです。
「バレンタイン・ハンター」は歌詞を読む限り、曲を可愛い方面に持っていきたそうにしてます。もしかしたら、恋愛の曲なので、ジャズテイストの持つ「大人っぽさ」を匂わせつつ、可愛い成分を全面に押し出していこうとしたのかも知れないですね。渕上さんのポップ曲の可愛い声によくあった編曲だと思います。
対して「MARIA&JOKER」はどうでしょうか。
とにかくセクシー。ルパン三世の峰不二子が主人公のスピンオフ作品があれば、それの主題歌に使われていそうなくらい。
こちらには共通の楽器構成に加えてヴァイオリンとフルートが入っていますが、これに起因する生っぽさが、この曲の艶っぽさに繋がっていると僕は考えています。
何かライブに参加したことがある方は分かるかも知れませんが、生音というのは楽曲に奥行きを与え、自分もそこ居るかのような空気感を演出します。
「バレンタイン・ハンター」に比べて「MARIA&JOKER」は、ボーカル以外のパートがちょっと遠くに感じませんか?リスナーが曲の中に入っていける空間があるというか。
それが曲の持つ空気感です。
以前各パートの配置について書きました。その時は音の高低についてのみ言及していますが、実は配置は上下左右だけでなく、前後にもあるのです。
ヴァイオリンやフルート、トランペットにベース・ドラム、殆どのパートがボーカルの後ろに配置されています。
これは音量差に加え、リバーブ(ホール内等での残響を人工的に加えるもの)・ディレイ(山びこのように反射して返ってくる音を追加するもの)といったエフェクトという音響効果によるもので、これによって「水樹さんの後ろにバックバンドが控えている様子」を演出しているのです。
夜のアンダーグラウンドながら煌びやかな世界にリスナー自身が入り込んでしまったかのような空気感。これが「MARIA&JOKER」、そしてこの曲におけるアダルティ水樹の根幹ではないかと思っています。
因みに、最近のトレンドではEDMの流行を受けてか、音を近くに置き、音圧を稼いで迫力と音のクリアさを強調するのが多くなってきています。
EDMではないですが、参考までに僕の好きな曲を一つ。
僕はラブライブはよく知らないのですが「青空Jumping Heart」の持つ強烈なポップセンスは大好きです。全体的に低音域よりも高音を強調した音でキラキラとした印象を与えています。また、どの音もとても近く、圧縮されたような雰囲気があるため、迫力もあるように感じます。(ただ、この音圧の稼ぎ方は、リスナーの音楽を聴く環境も考慮してやっている部分もありそうなので、完全に迫力のためというわけではないかもしれません。)
ともあれ、これを聴くと「バレンタイン・ハンター」と比べても更に音が近く「キラキラで可愛い」に特化したアイドルポップの音になっていることが分かりますね。
また話が脱線しました。
以上のことから「MARIA&JOKER」は水樹さんの艶のある声を活かすためのアレンジ(厳密にはミックス、マスタリングと言いますが…)がしっかりとされていることが読み取れます。
音の配置一つをとっても、このように一つ一つ狙いがあるわけです。
音楽って面白い世界ですよね(それ故に沼が深い…)
はい次ぃ!
ハンターVSジョーカー:リズム編
くそぅ、全然終わんないじゃん…。あっさりにするって言ったのに。
ということでリズム編です。「結局2曲ともロック」という話は先ほどしましたが、それでも両曲に明確な違いはいくつもあります。
まずはドラムフレーズの作り方。
「バレンタイン・ハンター」は「ドッドッドッドッ」と拍に合わせて勢いよくバスを鳴らしています。これを「4つ打ちドラム」と言います。これによりしっかりとビートを刻むが出来、安定感を出すことが出来ます。
ブレーキをかけるフレーズが無く、リズムによる音の揺れがないので曲が平面的になることもありますが、疾走感を強調するのに適したリズムパターンです。
(ロックバンド「KANA-BOON」の「シルエット」などでも御馴染みです。)
「恋するレディたちよ!いったれー!」という今回の渕上さんにはぴったりのドラムですね。
そして「MARIA&JOKER」ですが、こちらは場面ごとにドラムのパターンを変えています。Aメロ、Bメロでは少し跳ねるようなアクセントで8ビートを刻み、サビでは「ズッタンズッタンズッタンズッタン」と勢いづきます。ブレイク(音を止めたり、特徴的なフレーズでアクセントをつけること)も場面場面でしっかりと挟み、情緒的な仕上がりとなってます。ストップ&ゴーによりメリハリのある印象を与えられるフレーズのため、水樹さんの「音の立ち上がりが早くリズムに敏感なボーカル」によく合っています。
ベースに関しては両曲とも「ウォーキングベース」のようなフレーズを取り入れています。
ウォーキングベースとは、各コードの基本となる基音(ルート音といいます)だけでなく、様々な音を入れていくベースフレーズのことを言います。
この動画のベースがウォーキングベースの基本形です。
これを基調としたようなフレージングをしているため、身体を揺らしたくなるようなちょっとオシャレな雰囲気を作ることが出来ます。
そしてドラムとベースの音色。
もしかしたら、もうお気づきかも知れませんが、これも2曲で全く違います。
「バレンタイン・ハンター」は少しペタッとしつつも分厚い「デジタルサウンド」で「MARIA&JOKER」は、分厚さではデジタルに敵わないものの、抜けが良く解放感のある「生のサウンド」になっています。
これもまた、アレンジの方向性に合わせてよりよい曲にするための工夫の一つですね。
ただ、これは「この音が絶対だ」というわけではないです。今回デジタルサウンドのドラムやベースも、ライブになれば、恐らく生楽器の演奏になるでしょうし、別の楽器を入れてきてもおかしくはありません。
なんなら、渕上さん2nd liveの「フラミンゴディスコ」のように、曲自体をガラっと変えてくるかも知れません。(あれは衝撃的でした)
それを自分なりに解釈するのも、音楽の楽しみの一つだと思います。
このように、何百、何千、何万という音色の組み合わせから、たった一つの音を探し出す全国のアレンジャーさんたちは、僕たちリスナーがあまり意識しない部分にもしっかりと目を配り、職人としての仕事をしています。
もうアレンジャーさんに足を向けて寝られませんね。(あれ?アレンジャーさんどっちだ?)
結果発表
結果発表といっても、勝敗はつかないです。だってどっちも良い曲なんだもの
大きくまとめると、2曲ともジャズテイストを含んだロック曲で、その中で渕上さんは可愛い方面を伸ばし、水樹さんはカッコいい方面を伸ばすアレンジをしていったというところです。
「音楽には正解はなく、作り手の方針によっていくらでも膨らんで、いくらでも魅力的になっていく。」という音楽の面白さを知って貰えれば書いた甲斐はあったかなと思います。
また、ボーカルや歌詞に関しては比較よりも、それぞれの曲を取り上げたときに掘り下げた方が良さそうだったので、今回は敢えて書きませんでした。
では、いつも通りまとめる気のないまとめですが、これだけは言わせてください。
コラボ曲待ってます
Danger Day.2 「Rainbow Planet:渕上 舞」
「誰もがそれぞれ 正義の中で
正義を見失う 完璧な世界はないのに」
by 渕上舞
誰が間違っている、とかそういう問題じゃないことでも、自分と考えが違うと相手が悪に見えてしまうときありますよね。
こんにちは「もでーん」と申します。
デンジャーな情報二つ目は
渕上舞(声優) 1st single
Rainbow Planet
です。
前回の記事を良いと言ってくださった方がいらっしゃったので、調子に乗ってまた渕上さんです。
概略
「Rainbow Planet」は僕が「渕上舞」というアーティストに首ったけになる決め手となった作品です。
2018年1月24日には1st アルバム「Fly High Myway!」が発売されており、それに続く形で8月8日にリリースされた本作はTVアニメ「プラネット・ウィズ」のEDに起用されました。
タイアップなので、まずは「プラネット・ウィズ」について軽く触れておきましょう。
あらすじ程度であり、ネタバレは殆どないと思いますが、もし気になる方は飛ばして読んでください。
プラネット・ウィズは水上悟志氏が原作の、オリジナルアニメです。
過去の記憶を失っている主人公の黒井宗矢は、黒井銀子という謎のメイド少女と、猫の姿をした謎の生物先生と暮らしています。
そこにある日「ネビュラ・ウェポン」という謎の怪物(とにかくデカい)が現れ街を襲い、謎のヒーローたちがそれを阻止するのですが・・・。何故か銀子と先生は「君には特殊な能力がある。それを使って変身し、ヒーローを倒せ」と促してきます。記憶のない宗矢は事情が呑み込めないものの、その指示に従ってヒーローを撃破しに向かいます。しかし、そこにはそれぞれの「正義」に準じた複雑な背景があり、宗谷はそれに悩み、苦しみ、そして成長していく。
という物語となっております。
この物語の主題は「許すことの大切さ。」だと僕は思ってます。僕たちは自分と意見の違う人、特に反対の意見を持つ人には、嫌悪感を抱き拒絶しがちです。しかし、僕たちは生きている以上、時に相手を受け入れ、許し、慈しむことが必要になってきます。(どうしたって自分と違う考えの人はいますから。)
プラネット・ウィズはそこに焦点をあて、どう向き合っていくかということの重要性を問いかけている作品となっています。
個人的には、ここの部分はRainbow Planetを読み解いていくのに重要な部分だと思っています。
考察:導入
ではまず、名曲を聴いてみてください。
僕がこれを聴いて最初に感じたのは
「なんでこれを作った、歌ったのは俺じゃないんだ!」
という嫉妬。
これを「自分の曲です!」って堂々と言えるってずるくないですか?
「Rainbow Planetを先に作られて、先に発表されちゃったなぁ」というのが本音。
だが僕はそれを「許す」。それがこの曲のテーマだから…!
話が逸れました。だが渕上舞、覚えておけよ!(最初に戻る)
考察:サウンド面
注:いつも通り僕の主観です
長いので、さっと読みたい方は「考察:歌詞」から読むことをお勧めします。(ボーカルについては歌詞の項目で扱ってます。)
まずは全体的なイメージから
全体の曲調としては前回の記事「Crossing Road」に近いものになりますね。シンフォニックで激しい、ドラマチックな出来上がりとなっています。
これも聴いたとき、「Crossing Road」ほどではないにしろ、音の重心が低いなぁと思いました。因みに波形としてはこんな感じです
サビの波形です。
見づらくて申し訳ないですが、50Hz(下辺のメモリ)の付近が+6(左辺のメモリ)まで上がっています。
波形の見方としては右に行くほど高音域を示しており、上に行けば行くほどその音域の音量が大きい、というものになっています。
ではここで比較対象として、同じ疾走感漂うロック曲「予測不能Days」のサビの波形を見てみましょう。
大体似たような形ですが、波形の山で盛り上がっている部分の位置がちょっと違うのが分かるでしょうか?こちらは下辺のメモリでいうと100Hzの部分が一番盛ってあります。
ここから何が分かるのかというと、低音部が盛り上がっているのは同じとしても、予測不能Daysが100Hz、Rainbow Planetが50Hzと、Rainbow Planetの方が低い音が強いことが分かると思います。
僕は予測不能Daysは軽やかなので「昼」、Rainbow Planetはちょっとズッシリしているので「夜」のイメージがあるのですが、そういった印象の違いはこういう部分に由来しています。(もちろん楽器編成やアレンジによっても変わるので、あくまで一例です。)
参考までに前回の記事の「Crossing Road」は…
Rainbow Planetの50Hzより更に低い部分もガッツリ盛り上がってますね。ただ、50Hz以下は人間にとって聴き取りにくい音域で、低音感というよりも音の奥行を演出するために使うことも多いようなので、真意は製作者サイドに聞いてみないとわかりません。因みに、高音域(右の水色丸部分)も他2曲に比べて凹んでます。
高音域は、楽曲の煌びやかさを演出するのに必要ですが、敢えて減らすことによって、全体のトーンを落とすことも出来ます。Crossing Roadの重厚感に納得ですね。
曲の全体像で感じたのは以上です。
次はもうちょっと細かいところを掘り下げてみたいと思います。
丁度いいので、今回は曲の全体像を決定づける音色について語ってみようと思います。
今回取り上げるのはドラムの音です。曲の全体像と繋がってくる部分ですが、華奢で軽やかな渕上さんのビジュアルに反して、ドラムの音が重く詰まったような、圧縮されたような音が一曲を通して鳴っています。
特にスネアと呼ばれる、4拍子なら「ツ・タン・ツ・タン」の「タン」の部分が特に音の高い部分を削っています。(上記の波形はすべてのパートが混ざっているものなので、このような各パートのときは波形から読み取ることが出来ません。)
因みにスネアの音はこんな感じです。
これが本来のスネアの音になります。
なんかちょっと、音が違くないですか?ちょっと甲高いような。
それを踏まえてRainbow Planetを聴いてみてください。
そしてもし、渕上さんの「君と雨に歌うソネット」「beatiful sunday」の2曲を持っている方がいたら今聴いてみてください。(持ってない方もiTunesとかで視聴出来るかも)
「beatiful sunday」のスネアは同じ「タン」でもちょっと空間に抜けていくような音がしませんか?
「君と雨に歌うソネット」のスネアは逆に低音が少なめなのか「タン」というより「パス」っとちょっと軽い感じがしませんか?
このようにドラム一つの音色でも曲によってこんなに変わってきます。上記2曲や本来の音を聴いて、Rainbow Planetと比べると、Rainbow Planetの音が特殊なものであることが分かるかと思います。
上記2つがない場合は水樹奈々さんの「GREAT ACTIVITY」や「ULTIMATE DIAMOND」とかを聴いてみてください。(僕がこの2つしか持ってないので…)
水樹奈々さんの楽曲は「タン!」と抜けの良いスネアが多い印象です。(そもそも渕上さんの曲、スネアがない曲多い…)
では、何故Rainbow Planetはこのような音をしているのでしょうか。
これはもしかしたら渕上さんの声質と関係しているのかも知れません。ボーカルとヴァイオリンをメインに据えているこの曲では、打撃音でそれらをかき消すことはすべきでないと判断し、スネアの高音を削ることによって渕上さんの邪魔をしないようにしているのではないでしょうか。
前回も書きましたが、渕上さんのボーカルは優しい響き故に「溶け」ます。折角気持ちのいい声を、他の楽器と被せてしまっては魅力は半減ですよね。なので、渕上さんの声を邪魔するような部分は予めカットして、渕上さんの声が入る余地を残しておくのです。
以下各パート配置の大まかなイメージ。
逆に水樹奈々さんの声は、かなり通りますよね。喉というより身体全体が響いているような、一歩間違えれば兵器利用出来そうなくらいの強力な響き。彼女の場合は自然とボーカルが前に出てくるので、楽器の音を削る必要がありません。なので、ドラムも逆に埋もれないように高音域が入っているのでしょう。
ドラムに限らず、そういうところを気にして曲を聴き比べてみると、新たな発見があって面白いかも知れません。
ここで一点注意です。
今流れの中で渕上さんと水樹奈々さんの声を比較しましたが、これはどっちが優れているのか、という話ではありません。
各楽器には特性があります。活躍の仕方が違います。
渕上さんはフルート、水樹奈々さんはトランペット。そういった違いです。
すいません、長くなりました。
はい次ぃ!(CV:イモトア〇コ)
考察:アレンジ
続いてはアレンジについてです。
この曲は色んな場面において、ボーカルとヴァイオリンをハッキリと聞き取ることが出来ます。
ボーカルとヴァイオリンがメインなのだから当たり前と言えば当たり前なんですが、反対に、激しいイメージのある曲であるにもかかわらず、メインとなりそうなエレキギターは意外と目立ってないんですよね。コードの流れを感じさせつつ、ヴァイオリンのすぐ下の空間を補助するくらいの配置となっています。
「この曲を聴くならまずはボーカルとヴァイオリンを聴け」というアレンジャーの声が聞こえてくるかのようで、これでもかというくらいその2パートを印象付けてくるような編曲がなされています。
意識して聴いてみるとうっすら分かると思うのですが、とにかくボーカルとヴァイオリンはリズムとハーモニーが細かくリンクしています。
分かりやすいのはサビ。「誰もがそれぞれ正義の中で正義を見失う」という部分。「誰もが~中で」はボーカルはとてもリズムが細かく、音程も上下して迫力があります。そこの部分のヴァイオリンを意識すると、ヴァイオリンも何やら後ろで激しく動き回っていることが分かるかと思います。
しかし「正義を見失う」に差し掛かった瞬間、ヴァイオリンは独自の動きをやめ、ボーカルのメロディをなぞるようにして音を奏でます。
「正義を見失う」という強烈なワードに、同じメロディをなぞって合流してくるパート。
これめちゃくちゃ熱くないですか?
また、他のところでは、渕上さんが声を伸ばすところでヴァイオリンがよく動き、渕上さんが忙しいところではヴァイオリンが大人しいアレンジになっているところもあります。
そして、一曲を通して、ビュンビュンと箒星が流れるような動きのあるヴァイオリンを、下からギターがガシっと支えてバランスを取っています。ここでギターまで暴れてしまったら、しっちゃかめっちゃかで渕上さんの入る余地はなくなってしまいそうですね。
ベースも場面によっては結構動いてはいるものの、徹底して低い部分を弾いていて、基本的にボーカルやヴァイオリンと被るところまでは出しゃばってきません。
唯一高い部分と言えば「今日が最後の一日なら どんな風に過ごせば」の裏で鳴っているくらいです。
話は逸れますが、最近はベースも高い部分の音を使って動くのが増えてきており、特にUNISON SQUARE GARDENは3ピース故にベースの役割が大きいからか、それが顕著です。(かっこいいので是非聴いてみてください)
今回はあくまで「渕上さんのボーカルを引き立たせるためのアンサンブル」を大切にしているということですね。
はい次ぃ!
考察:歌詞、ボーカル
やっとたどり着きました。歌詞です。
冒頭にも書きましたが「誰もがそれぞれ正義の中で正義を見失う」にこの曲のメッセージが凝縮されていると思います。
プラネット・ウィズも、それぞれがそれぞれの正義を抱いて激突します。悪役として出てくる敵の言い分も正直分かります。主人公サイドとヒーローサイドと怪獣サイド。どれも主張は基本的に平行線ですが、物語が進むにつれて様相が変わってきます。
僕がこの作品を見て感じたことは「自分と他人、最後まで理解し合えずぶつかることはある。でもいつの間にか人は許し許され生きているんだ。」ということです。
「青空の反対側で星空が煌めくみたいに どっちも美しい空 正しさの裏側も間違いじゃないよね」
Aメロからしてセンスが爆発してます。
何がって、メロディに対して、歌詞の響きが上手くハマっているところです。
例えば、ZARDの「負けないで」の「負けないでもう少し~」の部分。「負けないで」が「愛してる」だったらどうですか?「文字数合ってるけど、その言葉入れちゃう?」ってなりますよね。違和感が凄い。でも「負けないで」にしたことにより、すんなり入ってきますよね。
Rainbow Planetってそこが凄いんです。最初だけに留まらず、一曲通してもうそれしか考えられないっていうくらい歌詞がガッチリとメロディにハマってます。
そして何よりすごいのが、この一節にこの曲のテーマが収まっていることです。
よく、相手に伝えるときは「結論を簡潔に述べてから、説明に入るのが望ましい。」と言われていますが、それをメロディという制限がある中で的確にやっています。
「これから、正義の反対は他の正義、ということについて歌いますよ」
って宣言してます。ここでリスナーは「ああ、これは絶対的な価値観はないってことについて歌っている曲なんだ。」とすんなり理解出来ますね。
そして、その前提からの
「正義の中で正義を見失う」
です。
すげぇこと言うよね…
「この世の価値観は簡単には割り切れない、それはみんな分かってるはずなのに…。お前らみんな気付かない内にそれを人に押し付けて強制しようとしてるじゃねぇか!」
っていう問題提起。身につまされます。恐らく、過去を振り返れば誰もが身に覚えがあるはずです。しかし、ここで終わらないのがRainbow Planet。ここから
「許し合えるから 愛し合えるの。」
という一節に繋げます。
どんなに親しい人でも完全に合うことはない。(B'zのLOVE PHANTOMでも「二人で一つになれちゃうことを 気持ちいいと思ううちに 少しのズレも許せないセコイ人間になってたよ」と歌ってます。)
考えてみれば、家族、恋人、友人と、時には反発しながらも関係を築いていきますよね。
糾弾し合って、それを非難して終わりではなくて「許し合おうよ」とまで訴えることが出来るこの曲。そこに僕は魅力を感じます。
そして、渕上さんのボーカルワークもリスナーを唸らせますよね。
前回も言及した「渕上節」ですが、「正義の中で」や「愛し合えるの」の部分等で声を張り上げるとき、他の曲より少し苦しそうに聴こえます。しかし、これこそが「この曲のテーマへの苦しみ」を表しているようで胸に染みます。
またその後の「正義を見失う~」や「Rainbow Planet~」のところでは、短い2拍の中でガッツリとビブラートをかけているところも、芸が細かいというか、耳が楽しいですし、実声とファルセットを瞬時に切り替えてバリエーションを持たせる技術力も、流石としか言えません。
「声優は声を生業にしているだけあって歌が上手い」と言われているのを何度か見かけたことがありますが、渕上さんはその中でも、曲にダイナミズムをもたらせることが出来るという点で「ボーカリストとしても歌が上手い」と僕は思ってます(微妙なニュアンスの違いかも知れないですけど)
センス抜群のメロディ・歌詞とクオリティ抜群の渕上さんのボーカルが綿密に絡み合い、この名曲を生み出したわけです。
まとめ
正直、気持ちが先走り過ぎて内容がとっちらかっているのでまとめようもないんですが、僕がどれだけこの曲を好きか、なんとなく分かっていただけたらと思います。
言いたいことはただ一つ
「渕上舞はいいぞ」
ありがとうございました。
Danger Day.1「渕上 舞(声優)」
こんにちは「もでーん」です。
デンジャーな情報一発目のお届け。
それは最近買ったCD
渕上 舞 5th single 「Crossing Road」
についてです。
渕上舞さんというとアイドルにもいらっしゃるそうですが、今回は声優として活躍している方の渕上さんとなります。
・・・といっても音楽活動の方を主に追っているので、声優としての活動はこれから勉強していく形になります。
渕上舞とは?
まずは人物紹介。
福岡県福岡市出身。
高校時代に水樹奈々さんのDVDを見たことから声優を目指すようになったそうです。
その後、声優としてキャリアを積み始めますが、中々日の目を見ず、挫折を経験したそとのこと。しかし、引退覚悟で挑んだ、女の子が戦車に乗って戦うアニメ「ガールズ&パンツァー」の西住みほ役で人気に火が付きました。
歌手活動に関しては、最初は「話はあったが、自分名義で曲を出す気がなかった。」とのことで、事実様々なキャラ名義で曲を歌っているにも関わらず、渕上舞名義でデビューしたのは2018年と最近のことでした。
「人生は一度きり。やりたいことをやってみようという意識になってきた。」との言葉通り、デビューしてからの2年でフルアルバム1枚、ミニアルバム1枚、シングル5枚(アルバムにはシングル曲は一切収録されていません)をリリースし、歌詞も楽曲の半分以上を書くなど精力的に活動してくれています。
テーマカラーは青。鳥が好きで、色んなところで鳥についてのエピソードを聞くことが出来ます(飼うのも食べるのも好きとのこと)。
最初に飼っていた鳥はセキセイインコで名前はチェルシーといい、現在はセネガルパロットのひまわりさんを飼っているそうです。(因みに僕の一番の推しサッカークラブはロンドンを本拠地とするチェルシー。クラブカラーは青。嬉しい偶然ですね)
ボーカリストとしての特徴
ここからはすべて僕の主観となっておりますのでご注意ください!異論があれば飲みに誘ってください!
僕が渕上さんを知ったのは2015年のアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」の北条加蓮役です。作品内でいくつか曲を歌っているのですが、その中で須藤まゆみさんの楽曲「蛍火」のカバーを聴いたときは、その技量と歌声に衝撃を受けました。
元の曲が素晴らしいのは勿論ですが、儚げな曲に渕上さんの声が良く合っていると思います。
原曲の須藤まゆみさんの声は芯があり、アンサンブルを従えるというイメージですが、渕上さんの声は優しく、逆にアンサンブルに溶け込むような印象を受けます。
声質自体も、渕上さんはちょっとヴァイオリンみたいな響きをしているので、それによるのかなぁと思ってます。X JAPANのToshiタイプ、みたいな。
(個人的に、渕上さんの歌声でラルクの「Pieces」か「瞳の住人」を聴いてみたい…)
それを境に、僕は渕上さんが参加している楽曲(デレマス以外でも)を聴くようになったのですが、特に気になったのはビブラートのかけ方。
例えば、上の動画40秒くらいの「ほた~るび~」部分のビブラートが独特で、音程とともに、音量の強弱も強いような印象を受けます。場面的にも、か細くて消えてしまいそうな部分でありながら、躍動感が感じられ、自然と耳に残ってしまいます。
しかも揺れの幅の塩梅が良い。これでもか、ってくらいかける人もいれば、殆どかけない人もいますが、渕上さんは丁度いい!甘さ控えめのスイーツのような「食べて満足。でももっと食べたい!」と思わせる後引くビブラートです。
また、歌い方の引き出しが豊富。アコースティックに合いそうな素朴な歌い方をしたと思ったら、あどけない歌い方も出来ます。だからといってバックサウンドに負けることはなく、力を込めるところはキッチリ張り上げ、場面によっては少々ラウドに歌うことも出来ます。曲が求めていることを汲み取って表現出来る幅の広さ。これも渕上さんの強みの一つだと思います。
強弱の付け方も、少し演歌というか歌謡チックな付け方をしているところもあって、面白いなぁって感じることもあります。個人的に音楽的ルーツが気になるところです。
その辺は、機会があれば改めて語っていきたいと思います。
最新曲「Crossing Road」
(レビューというより主観的な解説みたいになってるかも…)
そして2018年1月、渕上さんはフルアルバムを引っ提げてデビュー。丁度「渕上さん歌手デビューしないかなぁ」と思ってた僕は歓喜の涙で溺れかけました。それから月日が流れ、来たる2020年4月29日、新曲が発売されました。
5thシングル「Crossing Road」は現在絶賛放送中のTVアニメ「食戟のソーマ 豪の皿」のEDテーマに起用されています。
こちらはヴァイオリンやピアノをふんだんに使用したシンフォニックなロックチューンです。系統としては1st single「Rainbow Planet」に近いかなぁ。
作詞:松井洋平 作曲:小高光太郎、UiNA 編曲:石倉誉之、小高光太郎
の編成で、ダイナミックな世界観を作り上げています。
イントロは、抜けの良いソリッドなピアノの音で夜空を連想させるフレーズから始まり、次にヴァイオリン、そして全体のパートが入ってくるのですが…。
そこでのドラムの畳みかけ(0:14)に一気に引き込まれました。アクセントが「ターンターンタン・ターンターンタン」なのですが、そこを「タンタタタンタンタタタンタンタタ・タンタタタンタンタタタンタンタタ」で畳みかけてきたのは個人的にツボでした。(タはアクセントを表してます。分かりづらくてすいません)
アクセントに準じたフレーズでも全く問題ないのに攻めてくる姿勢…嫌いじゃない…!
更に、そのリズムに乗ってヴァイオリンが力強く動き回ることで疾走感を強調してきます。これがこの曲の基本の構成となっていくのですが、この後場面展開が激しいこの曲でも、ブレブレにならないのは「ここで全体像をなんとなく見せた。」からなのではないかなぁと思います。
その後Aメロで落ち着くためにブレーキをかけるドラムの「タタタタタタタタタタドド」もなんとなくグルーヴを感じて好きですね。
Aメロでは渕上さんが入ってきますが、ここの低い声でのビブラートが印象的です。僕は「音の揺れ」というものが凄く好きなんですけど、夜空に溶けていっちゃいそうな揺らぎに胸がキュッとさせられます。
Bメロに入ると様々なパートが合流して、サビに向けて徐々に助走をつけていく展開になってます。渕上さんも力を溜めていっているような歌い方です。ここでも途中からイントロの部分に似たフレーズのドラムが入ってきていますね。これはサビのリズムパターンへ移行するための布石かな、と思ってます。
そしてサビですが、各パートのハーモニーが気持ちいいです。Bメロの溜めから解放されたボーカルが、上で鳴るストリングスと、少し下で鳴るコーラスにガチっと挟まれ、力強い印象を与えています。更に相変わらずドライブ感のあるドラムが場面を盛り上げます。個人的には好きなアプローチですが、ギタリストのマーティ・フリードマンならもしかしたら「折角綺麗なメロディなのに、何故ドラムを目立たせるんだ!」って言いそうな気もします(笑)
サビ後半に入るとドラムが4ビートに切り替わり手数を緩めますが、代わりに後ろで鳴ってたヴァイオリンが大きめに動き始めます。場面展開をしつつ、こういうところでバランスを取ってるんですね。
音を詰め込んだ前半から急に空間が出来るので、景色が開けたような感覚になるのではないでしょうか。僕はなだらかな丘の先に広がる満天の星空が見えました。
あとボーカルの「Crossing Road そうして重なってく手と~」の「手と~」の部分が、徐々に声量を上げていって、最後力を込めた瞬間にスッと抜く「渕上節」を炸裂させていて好きなんですよね。(1st single Rainbow planetの「正義の中で~」のところでも確認できます。)
また、サビを聴いて思うのは、上から下まで音で満たしているわりには、音の重心が低いような印象を受けるなぁということです。(曲によって、高音域を強調するか、低音域を強調するかを使い分けることがあります。例えば、アイドルポップなどのジャンルになると、高音を強調し低音がバッサリカットされてキラキラした印象になるようにしてることもあります。)
これも曲の重厚さを演出するための仕掛けなのかも知れないですね。
さて、間奏ですが、渕上さんの心地よいコーラスが入っています。
渕上さんは声が柔らかいので、こういうバックサウンドと混ぜたときに、真価を発揮すると思ってます。上手く馴染んで周りを引き立たせつつ、自分も前に出る、例えれば、つけ麺のスープにおける「魚介類の出汁」のような…!
(デレステで「ゆず」の虹をカバーしたときのコーラスワークでも感じました。)
ここではファンファーレのような金管楽器と鐘のような音が入ってきて、太陽が昇るような展開になってます。歌詞にもある「夜明けの鐘 鳴り響く」をまさに表現しているようで「流石プロはやることがニクいなぁ」と感心してしまいます。
2番に入ると若干様相が変わり、各パートが動き回ってアグレッシブな展開になります。丘の頂で風が吹き始めてるなぁ、物語が動き出しそうだなぁ。そんなことを薄っすらと感じさせます。
2番のサビが終わるとCメロです。また新しいリズム「ダッダッダダン・ダッダッダダン・ダンダン」が出てきます。ここでは4拍子のリズムの中に3拍子×2小節+2拍のようなフレーズを入れており、そのリズムを続けながら、ボーカルの方は途中4拍子に切り替わったりしています。(実際リズムを取ってみると、「傷つき迷っても~」のところと「真っ直ぐな瞳で見つめて進んでく」ではリズムの取りやすさがだいぶ違うことが分かると思います。)
ボーカルとバックサウンドを分けて聴いてみるとわかりやすいかも知れません。脳が混乱しかけるところで元に戻すことで、アクセントにする手法です。ただ、リズムがズレていても2小節で帳尻が合うので、そこまでストレスには感じることはないかなぁと思います。
しかし、歌う側は大変だったと思います。自分だったらリズムに集中してしまい、表現する余裕がなさそうです。UNISON SQUARE GARDENの斉藤さん(Vo,Gt)とかなら得意そうですけど。
物語で言えば「起承転結」の「転」に該当する部分です。この直後からのピアノソロは追走するヴァイオリンと絡み合って、丘を駆け抜けるような迫力です。しかも各パートのフレーズが細かく、音程的にも上下に激しく動くので、聴いている側としては、そのダイナミックさにハラハラとワクワクを感じずにはいられません。
もしライブで実際に聴いたらボルテージは爆発寸前、会場内はもはや可燃物を含んだような期待で満たされいていることでしょう。
そしてブレイクからの大サビ。少しの静寂の後、フルパワーの渕上さんが火をつけ、ここでもう抑えられてきたグルーヴは爆発。ラストに向けて一直線に駆け抜けます。
華奢な見た目でありながら、大サビラストに相応しいパワフルな歌声。流石としか言えません。
渕上さんのボーカルを軸として様々な楽器が絡み、楽曲が成り立っていく様は、まるで道が交差して未来を切り開いていく人の営みのよう。正にCrossing Roadだなと思います。
アウトロも、夜明けを祝福するような響きに聞こえます。恐らくこの曲の「結」はハッピーエンドなのではないでしょうか。未来に期待したくなる。そんな曲だと僕は思ってます。
感想
「Crossing Road」は渕上さんの強みを存分に楽しめる曲となっているのではないでしょうか。カッコイイ部分もあれば、儚げに歌う部分もあり、透き通るような声が気持ちのいい部分もありました。僕は渕上さんのこういう曲が特に好きです。
カップリングには和風のR&B調でちょっと可愛いボーカルが乗っている「ハラ・ヒラ・フワリ」が収録されています。そちらも「Crossing Road」とは違う側面を聴くことが出来ます。合わせて聴いてみてください。
終わりに
ブログって難しいですね、色々と。
次からはもうちょっとシンプルに書いて行こうと思います。
気が向いたら、どうぞ気軽に絡んでください。
ありがとうございました。
渕上さん!3rd Live 待ってます!